女子バレー

ベストセッター1位佐藤美弥 東京オリンピックセッター争いの行方は ワールドカップ女子バレー2019 

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中田監督に代わってからずっと注目されてきたこの「セッター争い」。
ワールカップのメンバー選考では、直前まで合宿で練習していた田代選手、佐藤選手、宮下選手の中から2人選ばれるということで注目されました。
田代選手は世界バレー2018で正セッターを務めました。

改めて振り返ると、中田監督に代わってからのセッターは

2017年 冨永選手(佐藤選手)
2018年 田代選手(冨永選手)
2019年 佐藤選手(宮下選手)

がそれぞれ一番大きな大会で正セッターを務めています。カッコ内は第二セッター。
また、今年はこの4人に加え、Vリーグで新人賞を獲得した関選手が加わり、前半のモントルー、ネーションズリーグでは結構な割合でスタメン起用されており、
その後もBチームとしてアジア選手権に出場し、優勝に貢献しています。

そんな中、世界バレーのあとの中田監督のコメントが非常に記憶に残っていました。
それは「セッターは誰にも満足していない」という言葉。
世界バレー6位という成績は、今年のワールドカップバレーの5位より実質上の成績だと思っています。(セルビアに主力がいないこと、イタリア、トルコなどが不参加であることから)
その田代選手がまさかの選出外。
そして今回のワールドカップバレーの後のインタビューでは、
「2枚替えの宮下がいい時もあり、前もそのまま行こうと迷ったことがあったが、佐藤の自信のために最後まで佐藤に上げさせた」という旨の発言がありましたし、
全体的に今回のほうが優しく成長を見守るような発言に見えました。

佐藤「自信より感謝」のトス1188本 女子バレーW杯

オリンピックの正セッターについての明言は避けましたが、おそらく上記の内容を見るに今のところ佐藤選手が有力候補なんだろうと思います。

ただ、先にも書いた通り、結果としては田代選手のほうが上のものを出している、
オランダ合宿を見ても、台湾との交流試合を見ても、決して田代選手は悪くなかった。
特にワールドカップバレーの前半戦に関しては、「田代選手で良かったのでは…」と正直思わされることが多かったです。
とにかくブロックのシャットが多く、田代選手のほうが速くはない分アタッカーが余裕をもってブロックを見ながら打ててるように見えました。

ただ、それも後半になって佐藤選手のトスが明らかにいい方向に変わりました。
小幡選手も言ってるように、レシーブの意識を変えたというのも大きな変化の一つだったのでしょう。
特に最後の3戦は、散々言われていたトス回し、「ミドルの使い方」や「バックアタックを絡めた攻撃」、「ライトの攻撃」の幅がすごく広がったように思いました。
見ていて面白いほど良く決まっていました。

数字上、ベストセッター1位の佐藤選手。ただ、個人賞は中国の選手でした

ワールドカップのランキングを見ると、佐藤選手はセッター部門で1位です。
ですが、個人賞を受賞したのは中国の選手でした。
おそらくブロックを振る以外のところを総合的に評価した結果、なのだと思います。

ただ、数字上1位ということは、間違いなく高い評価、ほかのセッターよりも秀でた能力があるということなのだと思います。
(ランニングセットはブロックを1枚にする割合の高さだと思うのですが…
 それが1位ということは、1枚~1枚半が一番多いセッターということ。それでブロックが多かったのはスパイカーの問題ということになりますがどうなんでしょう…)
ちなみに世界バレーの田代選手は5位。
田代選手は早く低くというよりもアタッカー勝負をさせるトスが多いので、佐藤選手との差はなんとなく理解できます。

そういう意味でも、佐藤選手は一歩リードしてるような状況かと思います。

また、今回2枚替えで宮下選手のディグがかなり目立ちましたが、(ほんとにムラなくいつもすごいですね…)
佐藤選手もウィークポイントと言われていた(ご自身もインタビューで言ってましたね)ところから、
かなり意識して強化してきたな、というのがわかる大会でもありました。
強打もそうですが、特にフェイントに対しての動きは明らかに良くなってましたね。

「速い攻撃」「ワンフレームバレー」が通用しなかった世界。方針を変えるのか…

一つだけ引っかかるとすれば、前半戦があまりにも「速さ」で通用しなかったことです。
もちろんポイントポイントで通用する場面はありました。
特に宮下選手が入った時の鍋谷選手や芥川との攻撃は本当に早くて、相手ブロッカーがついて行けてませんでしたし、攻撃も通用していました。

ただ、サーブのいい国、今回だと特に韓国、中国になると、サーブで崩され、攻撃の選択肢がなくなった時に低く早いトスを送り、ブロックにかかる、という場面を良く見ました。
今後、レセプションの強化は間違いなく行われると思いますが、それでも「サーブで崩されない」を前提とするのはどうなのだろう?という気持ちにもさせられました。
中国のあのサーブで、攻撃の選択肢が常に3~4枚ある状況を作れるのかと。

結局、「1本目を高くしよう」という小幡選手の声で、明らかに変わりました。
「レシーブからスパイクまでの速さはそこまで早くなくてもいいのでは?それよりも余裕をもってセッターが上げることのほうが重要では?
と思わされたこの一連の流れ、
今後の戦術はどう変わるのか、もし変わっていくのだとしたら、セッター選考にも影響があるのか。
ただ、佐藤選手は後半に合わせられたということは、戦術を変えても対応可能ということだとも思います(寧ろこっちのほうが良かった?)

東京オリンピックセッター争いの最後はVリーグか。注目は、田代選手、関選手、冨永選手

これは勝手な予想ですが、上記のことから、今大会のインタビューを見ても、また、2枚替えの宮下選手の活躍を見ても、
おそらくほぼ、オリンピックのセッターは「佐藤選手、宮下選手」に決まっているように思います。
使い方はどうなんでしょう、もしかしたら長岡選手が復帰すればもうちょっと宮下選手の出番も増えるような気がしますし、
個人的には相手によってもっとセッターを変えてほしいとも思います。
今大会の起用法では、宮下選手のサーブとディグの良さは活かせても、ブロックをしないので高さを活かせていません。
特に速さが通用する場面ではもっとどんどん使っていってほしいと思います。鍋谷選手、芥川選手との相性はすごく良く見えました。

ここから変更があるとすれば、今期のVリーグでしょう。

注目はもちろん田代選手。
今年からデンソーエアリービーズに移籍し、鍋谷選手と同じチームです。
また、奥村選手と、直前で選考されなかったリベロの井上選手も今季からデンソーに移籍しています。
それに加えて前期にベスト6に入ったミドルブロッカー、シニアードジャック選手がいるので、
本当に前期とは別チームでしょう。
鍋谷選手がキャプテンのデンソー、特に鍋谷選手、奥村選手の「生き残り」、田代選手、井上選手の「逆襲」、
優勝または準優勝でもすれば、本当にわからなくなってくるなと思います。

同じく注目選手、東レアローズの関選手。
東レは去年準優勝していますし、全チームのベストスコアラーのクラン選手が続投。
黒後選手に加え、今年世界を舞台に大活躍した石川選手がおそらくメインに加わり、
既に内定から活躍しているリベロの水杉選手もU20で世界相手に活躍しました。

あとは、戻ってきた埼玉上尾の冨永選手。
埼玉上尾も、去年は後半失速しましたが前半の勢いはすごかった。
今年あの勢いで最後まで行くと、優勝争いに絡んでくる可能性もあります。

特にこの3チームが良い成績を残したとき、来年オリンピックのセッター候補へ返り咲く可能性はまだまだあると思います。
10月12日から始まるVリーグにも注目です。

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