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矢沢あいさんの漫画「NANA」を読んで、奈々が幸せになれる相手は誰だったのか考えた。

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久々に「NANA」を、マンガMeeというアプリで読み返しています。(実家には本があるんですが…まとめて読みたい欲が…)
以前「「天使なんかじゃない」「ご近所物語」「NANA」矢沢あい漫画を比べてみた。」というブログを書いたのですが、今回はNANA単体で、
「結局奈々って誰と一緒になったら幸せだったんだろう…」と考えていました。
ちなみにアプリではタクミとノブのごたごたのところです、おかげでこんなことを考えていたわけですが…

この話、ネタバレあるので未読の方は要注意!
というか、読んだことのない方は何の話かわからないと思います…

奈々の歴代彼氏の共通点

・1人目:浅野さん

1話目で奈々は数々の恋愛遍歴を面白おかしく話しますが、大体は「ひとめ惚れしては失恋」の繰り返しでした。
そんな中出会って惹かれたのが「浅野さん」。不倫でしたね。
これが奈々の「彼氏1人目」。

・2人目:章司

浅野さんと別れた後、デザインの専門学校で親友の淳子の友達として出会った章司(遠藤章司)。
奈々は後々彼を追いかけて東京に出ます。

3人目:タクミ

のちに結婚にまで至る、奈々が大好きなバンド「トラネス」のベーシスト、タクミ(一ノ瀬巧)。

4人目:ノブ

タクミと別れた後に付き合った、ナナのバンド「ブラスト」のギタリスト、ノブ(寺島伸夫)。

この4人です。

作中でも軽く触れられてますが、章司とノブは似てますよね。
軽いノリなのに生真面目な性格で、基本的に他人に対して誠実な二人だと思います。
奈々はこの二人といるときはノリもあって、いつも楽しそうな様子が印象的でした。

そういえば、タクミは全く別タイプですよね。
ではタクミは奈々のタイプではない?

確かに始まりは流れだったし、「ファン」と「恋愛」の好きは違うものなので、実はタクミは全く奈々のタイプではないのでは?と考えましたが、
その時に思いついたのが、最初の不倫相手、「浅野さん」。
実はタクミはこの浅野さんに似てるんじゃないか、と思いました。

誠実そうで、不誠実。
この「タクミと浅野さん」「ノブと章司」の決定的な違いは、
「浮気ができるかできないか」だと思います。

章司は幸子と浮気したのが原因で別れたじゃないか!と言われそうですが、
あれは本人も、淳子の彼氏の京助も言ってましたよね、
「ありゃ浮気というより本気じゃん?」と。

そう、章司の浮気は「結果論」であって、基本的に章司は浮気なんかできないタイプなんですよね。
奈々との結婚まで考えていたほど。
そして浮気したときも罪悪感で悩みまくったことは想像に難くない、そういうタイプです。

ノブはもっと…浮気どころか「奈々に片思いしたままほかの女なんて!」ってくらい誠実なタイプですよね。

浅野さんとタクミは、浮気ができるタイプ。
おそらくそこに罪悪感がないんですよね。
浅野さんは最後、奈々に対して「つらかった」と言いますが、奥さんに対しての想いはどこにも感じられませんでした。
タクミも、レイラとの関係の際には、レイラのことを考えはしても奈々のことを考えてるようには思えませんでした。

おそらくですが、浅野さんとタクミは「家族や恋愛を一番にはできないタイプ」。
浅野さんは完全に想像ですが(笑)タクミはどこか恋愛を軽視してますよね。
タクミにとっての一番は仕事である、バンド・音楽なのでしょう。

どう考えても奈々が幸せになる相手は「ノブか章司」でしょうね。

不完全な相手に惹かれる、自信のなさ

ではなぜ奈々はタクミを選んだのか。
結果的には「子どもができたから」「ノブの将来を壊したくなかったから」という二つが大きな理由でしょう。
でも奈々は間違いなくタクミにも惹かれていました。
ただ、自信をもってタクミに片思いできなかったのは、「将来がない」「浮気されてすぐに捨てられる」という不安からでしょう。
要は「遊ばれてるだけ」と思っていたから。
では子供ができて結婚しよう、と言われたのだからタクミでいいじゃないか、と思うのですが
結婚しても浮気されることくらい、おそらく奈々はわかっていたんでしょうね。

ではそもそもタクミに惹かれた理由は何か?おそらく浅野さんも同じようなパターンだったんじゃないかと予測します(浅野さんの時は初めてだし自覚してたかどうかは微妙ですが)
浅野さんとも不倫の関係。将来がない。なのになぜ惹かれるのか。

奈々はなぜか、自分に自信がないんですよね。
何度も「なにもない」というモノローグが出てきます。

家族にも愛されていて、当時の「今どきの女の子」で、ノリもよくてかわいくて愛想もいいのに、なぜ?
と考えると、おそらく奈々自身が「自分にもってないものを持ってる人に惹かれるタイプ」なんだと思います。

その理由として、奈々の友人関係は、

・専門学校の友達:淳子、章司、京助。3人とも美大に行き、それぞれグループ展や将来に向けて勉強している。
・ナナと出会ってからの友達:バンド・音楽でプロを目指す、またはプロとして生きている人たち(ブラスト・トラネス)。

これ、良く考えると「ご近所物語」でバディ子(中須茉莉子)が陥った、「周りが当然みたいに将来に向けて頑張ってる」という状況で自分を見失う、というのに似てますね。
(「「天使なんかじゃない」「ご近所物語」「NANA」矢沢あい漫画を比べてみた。」でも触れてます)
おそらく、ブラストが稼働して、レンとナナが復縁し、タクミと関係を持ったあたりの奈々は、そういう状況だったんだと思います。
特に章司に浮気されて別れ、さらに職場をクビになってるとき、
そんな将来に向けてまっすぐ頑張る周りと比較して「自分は職もなく、資格も夢もなく、日雇いバイトで過ごす日々」に猛烈な劣等感、仲間外れ感を感じていたのでしょう。

そんな中で、「どうしようもない男」である、タクミに惹かれたのだろうと思います。
そして過去の浅野さんとの関係を見る限り、高校の時からそういうベースがあったよな気がします。

そう考えると人間って面白いですよね。
ノブにとってタクミは音楽で成功して、金も才能も実力もある完璧な男だった。
でも奈々から見たら、タクミのほうが「不完全」に見えたんでしょう。
まっすぐなノブやナナに見せられない姿を、タクミには見せることができたんでしょう。
ただ、そういう関係性の行きつく先は依存でしかなく、危うい関係性なんだと思います。
作中の奈々に関しては子どもができたことやタクミに対して割り切った思いがあったので、依存関係には陥っていませんが、
浅野さんとの関係はちょっとヤバいところまで行ってましたよね。

奈々が求めたのは自立した幸せか、愛情を注ぐ幸せか

ただおそらく、子どものことがなければ奈々はタクミに戻りはしませんでした。
子どもができなければどうしていたか、もっと言えば章司が幸子に浮気しなければどうなっていたか。

この「浮気できないタイプ」のふたりの違いを考えてみます。

奈々への愛情や誠実さはとても似てるように思うのですが、この二人の決定的な違いは
「奈々に求めるもの」だったのではないかと思います。

章司は、「奈々との将来を本気で考えるからこそ、奈々に自立してほしかった」。これは淳子も言ってますし、そもそも東京に出るときに章司がくぎを刺してますね。
裏を返せば章司自身が奈々を養い、守る自信がないともとれますが、幸子はほわほわしながらも同じ美大に通う女の子。
やはり夢ややりたいことがあるような女性が好みだったのかもしれません。

ノブははっきりした描写はありませんが、想像するに「奈々をとにかく守っていこう、自分が稼いで奈々の好きなように生きさせてあげよう」とするタイプ。
おそらく、自分の夢よりも。
それは奈々の妊娠がわかったときに、「ノブならバンドをやめるかもしれない」と淳子が言って、奈々は泣いてましたね。
ノブはまっすぐすぎるくらいに自分を犠牲にしても愛する家族や女性を守り抜くタイプなのでしょう。

では奈々はどっちが幸せだっただろうと考えると
たぶん、ノブだったと思います。
理由はタクミの妻として、子どもを妊娠してるときの充実感。
シンちゃんへの心配や愛情深さ。

奈々にとっては「夢をかなえて働く自立した女」よりも
「子どもを産み育て、家族として働く旦那さんを支える」というほうが幸せのような気がしてなりません。
ある程度浮気も目をつぶっていつつも、タクミとまっすぐに向き合おうとしてることからも
「なによりも家族の幸せを守り、それが自分の幸せ」と感じるタイプなのでしょう。

妊娠した後の奈々は、色々不安や寂しさはあっても、充実した幸せのようなものを身にまとってるように思います。

未来のシーンをまだ読み解くことはできませんが、
タクミとうまく行ってるとは思えない描写が多かったので、「子どもを産み育て家族として生きる」相手は、おそらくタクミではなく、ノブが良かったんだろうなと思います。

中学生の時に初めて読んだ「NANA」。
大人になって読むと、浅はかだと思っていた奈々の気持ちがよくわかったり、
ナナの孤独が辛かったり、以前とは違う目線で読むことができます。

昔読んだ漫画のレビュー、またしたいと思います。(これはレビューなのだろうか…)

以前の記事。
「天使なんかじゃない」「ご近所物語」「NANA」矢沢あい漫画を比べてみた。

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