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「ぼくの地球を守って」(‎日渡早紀さん作)読んだら、「月の子」(清水玲子さん作)のティルトの運命が悲しくて切なくなった話

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「ぼくの地球を守って」という有名な少女漫画が、最近白泉社のまんがアプリ「まんがPark」で無料配信していたので、
初めて読みました。
一気読みしてしまったので理解できていないところもまだあると思いますが、初見で感想を書いていきます。

タイトルは昔から知っていました。
でも読んだことがなくて、丁度今回の無料公開の時にTwitterでトレンドに上がっていたんですよね。
「名作だから絶対に読んで!!!」みたいな意見が多かったので、
この機会に読んでみよう!と思い一気に読みました。

1986年から1994年まで白泉社の「花とゆめ」で連載していた、全21巻の長編SF漫画です。(そんなに長かった!?一気読みしたのでちょっと驚き…)

30年以上前の漫画で、もちろん絵柄や当時のファッションなどは古く感じますが、
それでも引き込まれる内容でしたのでお勧めです。

内容は、前世の記憶を持つ高校生と主人公の近所の子ども。
前世の記憶とは宇宙から地球を見守り、夢の中で様々な人間関係や地球との関わり、そして結末までを知っていく。
生まれ変わった現在の人たちとどう関わっていくのか。
そんな中、生まれ変わりの一人が何かを企み周りを巻き込み東京タワーをターゲットに計画を進めている。
その意図は?
前世で全員が持っていた「キーワード」を集めようとする理由とはなにか?
なぜ一人だけ年齢が離れているのか?

様々な謎と意図、前世に翻弄されるメンバーの気持ちや、前世の関わりなどが読み応えたっぷりです。

前世、運命、宇宙、地球…清水玲子さんの「月の子 MOON CHILD」との共通点

ここからはただ感想を書いてもつまらないので、もともとファンで同じく「まんがPark」で読める、清水玲子さんの「月の子」と比較しながら感想を書いていきます。
どちらかを上げたり下げたりする比較ではないのでご安心ください。それでも、他の作品を比べることを良く思わない方は読まないほうがいいと思います。
また、どちらの作品に対してもネタバレを含みますので、読んだことがない方は要注意。

「どちらかの作品のファン」の方が「どちらかの作品に興味を持ってもらえたら」と思って書きます。(その割にネタバレありますが…)

「月の子 MOON CHILD」は1988年から1992年に同じく白泉社の「LaLa」で連載されていた作品です。コミックスは全13巻。
連載開始は2年差。このころのブームだったのがわかりますね。

「月の子」のあらすじとしては、

「人魚姫」のテーマになった伝説の人魚を母に持つ3つ子の人魚が、地球へ産卵をしに戻ってきた。
しかしその一人、ベンジャミンが事故に遭い、記憶をなくす。
事故の原因である「アート」が記憶をなくしたベンジャミンを引き取り、「ジミー」と呼び生活をするが、
ジミーはアートに恋をする。
しかし「人魚」と「人間」の恋愛はタブー。母親「セイラ」が引き起こした悲劇を再びベンジャミンが起こすのか…
3つ子は「ひとりしか女性化し卵を産むことができない」。ほかの二人はその子を守り、子どもを産む手助けをする運命なのだが…
その「ひとり」が亡くなった場合は、残った二人のうち一人が女性化し、卵を産むことができる

という話。
ヨーロッパの「魔女狩り」、童話の「人魚姫」、そして「チェルノブイリの原発事故」を絡めた作品です。

私がこの二つの作品が似てるなあと思ったのは

・運命に縛られた人たちが現世で戦う物語
・月から地球を見て愛おしく思い、そして破滅させようとする
・主人公が記憶喪失(ぼくの地球を守って、では前世の記憶が戻らない、という意味で)
・主人公が羨望の的で多大な力と美しさがある。ちょっと天然で悪意はないが恨まれやすくもある。
・シオンとティルトの恨みや絶望からの行動
・主人公を叶わぬ立場から片思いする玉蘭とショナの存在、そしてその二人に恋する槐とセツの存在。

というところです。

木蓮(亜梨子) = ベンジャミン(ジミー)
紫苑(輪) = ティルト
玉蘭(小椋 迅八) = ショナ
槐(錦織 一成) = セツ

あとは全然違うけど、恨まれるという意味で

秋海棠(笠間 春彦) = アート

かなあ。

そういう意味で、「ぼくの地球を守って」は本当にストレートに「ハッピーエンド」でしたね。
恨みを持って囚われ、木蓮への愛情すらわからなくなってる紫苑を、最後に全員で救うという「王道ストーリー」。
それに比べて「月の子」は、ティルトは最後まで救われなかったな、と。
同じく傷を持ちベンジャミンを恨みセツを自分の身代わりのために罪を犯し続けるティルトにも同情の余地はたくさんあったんですが…

その二人が「主人公の相手」と位置付けられてるか「悪役」と位置付けられてるかの違いで、
正直この二人にさほど差があったようには思いませんでした。

物語的には「月の子」のほうが「地球を守る」物語だったような気もします。
「ぼくの地球を守って」というタイトルのわりに、輪がなにがしたかったのか、というのが本当に最後の最後に混乱の中明かされますが、
このあたり読み込んでないから理解できてないんですけど、破壊したいのか支配したいのか、支配するためのなにかがあったのか
(紫苑が作ったと思い込んでいた何か?で地球を支配できる?)
というところがぼやけてしまったので、タイトル回収にはちょっと疑問が残りました。

正直、このタイトルでこの物語!?って思いました。笑
間違いなく面白かったんですけどね。
これ、セーラームーンが好きな人は好きだと思います。

ぼくの地球を守ってを読んだらティルトの運命が悲しくて切なくなった

要するにこれでした。
「ぼくの地球を守って」のシオンへのありすの愛情や理解、ハッピーエンドまでのストーリーを読み終えたとき、
「月の子のティルトがこの世界にいたなら…」と思わずにいられなかった。

「戦争孤児」とレッテルを貼られて愛を知らないシオン。

大好きな育ての親に「ティルトは子どもを産めないのだから助かってもしょうがない!」と言い放たれる(直接ではないが)ティルト。
汚れ役を一身に引き受け、生きるために魚を捕っても、ベンジャミンに「よくそんなかわいそうなことできるね」と言われるティルト。

「愛されたい!」「羨ましい!」という叫びが、ベンジャミンや玉蘭への恨みに変わるところは本当によく似てると思いました。
まあ、ティルトは「本気でベンジャミンとアートを排除しようとする」ので、紫苑よりやってることは酷いんだけど…

最後にそれぞれ気になったところを…

「ぼくの地球を守って」で紫苑が暴走した理由となった秋海棠が、前世の話でそんなに語られなかったのが気になって、
秋海棠の木蓮への気持ちもあまり描かれなかったし、病気発症からの物語もそこまで書かれてないので
「秋海棠どうした!」という気持ちしか残らなかったのが残念。

この話はほんと、前世のストーリーありきの物語なので、前世だけで人作品にして欲しいです。
もしかしたらあるのかな?

また、「紫苑」ではない「輪くん」の魅力がいまいちわからなかった…
ありすも最初は泣くほど嫌がっていたし、いったいどこで「シオン」ではなく「輪くん」に惹かれたんだろう…

「月の子」は読み込んでるのであまり疑問はないんですが…
アートがベンジャミンを殺すという結論に達する理由の一つである、
父親の話がちょっと唐突だったしもうちょっと掘り下げてほしかったなという気持ちはありました。

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