久々に読みました、一条ゆかりさんの「プライド」。
実は一度発売日に購入して全部読んで、引っ越しの際に手放していたんですが、
アプリで久々に読むことができて、10代~20代前半で読んだときとまた違う感想になったので紹介します。
プライドの高い正統派のお嬢様「史緒」と、プライドを捨てて成り上がろうとする「萌」の対比の物語
オペラ歌手を目指す音大の3人、麻見史緒と緑川萌、池之端蘭丸にレコード会社の副社長、神野隆の4人が、音楽や恋愛を経て成長していく漫画。
主人公の麻見史緒は、母親に亡きオペラ歌手を持ち、父親は経営者、容姿端麗でまっすぐな「お嬢様」。
緑川萌は、そのシオ(漫画ではシオという表記が多いので、合わせます)の家にバイトのハウスキーパーで来た女の子。
萌は最初はシオをうらやましがるだけだったが、シオに誘われて一緒に行ったオペラで二人と出会ったレコード会社の副社長、神野隆のアドバイスにより、
シオを落として成り上がるために生まれ変わる。
シオの父親の会社が倒産、無一文になり、留学をかけたコンクールで
萌に「母親はあなたのせいで死んだ」と言われて歌えなくなる。結果萌が優勝することに。
ここから二人の因縁が始まります。
無一文のシオを助ける蘭丸。
シオを妻にしたいと思う神野。
シオを恨みつつも、人生を変えてくれた神野に恋する萌。
そんなシオに徐々にひかれていく蘭丸。
夢をかなえることと、プロ意識や「チャンスをつかむこと」、素晴らしいライバルを得ること、
「人を落とすのではなく自分が上がる」大切さ(蘭丸のママの名言)。
そういう「人としてどうあるべきか」というのをすごく学べる漫画でした。
人を落として成り上がろうとする萌
萌は、シオを恨んで落とそうとするんですが、その理由の大きなところは母親の影響にありました。
母親はいつも萌に金を貸してくれと現れるいわゆる「毒親」。
萌は途中、「私の邪魔をしないで!!!」と母親を殺そうとまでします。
また、自分に意地悪や邪魔をする人には裏に回って上手く落とそうとし、
自分に好意をくれる人には親しさや愛情を示す。
そんな「愛情に敏感」な萌ですが、因果応報なのか、留学に行ってもひどい目に合う。
そういうことになるたびに「シオ」の運命を呪います。
そんな萌を救ったのも、またシオでした。
とにかく人と誠実に向き合いたいと思うシオ
萌の悪意に振り回されながら、それでも萌に誠実に向き合うシオ。
神野と結婚の約束をしながらも、蘭丸に惹かれることを思い悩みます。
表現力が足りなくてうまいのに人の心を動かさないと言われ、
泣きながら悩んだシオの「表現力」を教えてくれたのは萌と、蘭丸。
そのまっすぐな思いが、色々な人を誠実にさせていきます。
人としてこうありたいと思いつつ、人間臭さに惹かれていく
シオや、ママ(蘭丸の母親であり、蘭丸がピアノを弾きシオが歌い、萌が勤める銀座のクラブのママ)のように
強く正しくありたいと思う一方、
萌や神野の「人間らしい」葛藤や悩みがまた魅力的です。
蘭丸の母親、シオの父親、神野の両親と隠し子のeiko、留学先の先生でありプロのオペラ歌手ルディ、世界的なピアニスト・ベティ、萌の母親の親友であり萌の絶対的な味方の「ふみよおばちゃん」など
一人一人の描写が素晴らしく、一気に引き込まれ、また非常に考えさせられる漫画です。
一条ゆかりさんの代表作「有閑倶楽部」とはまた違う魅力
一条ゆかりさんの一番有名な漫画といえば「有閑倶楽部」ですが、このイメージで読むと全く違うのでご注意!
ご本人もたしかどこかで言ってたと思うんですが、昔からの作品を読むと寧ろ「有閑倶楽部」が異色なくらいで、真骨頂は「シリアスでドラマティックな物語」だと思っています。
(と言っても有閑倶楽部も実家に全巻あるし何度読みなおしたかわからないくらい大好きです!)
有閑倶楽部は非常にコミカルで、面白い作品ですが、
プロの厳しさ、人間の弱さと強さ、人の愛情を深く描いた、「プライド」、非常にお勧めな作品です。
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