「イラストのオーダー制作と著作権」の話。

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私はイラストレーターではないし対個人相手の仕事はほとんどしていません(依頼があればしますが)
なので、この意見はそういう方々の代弁ではなく、1クリエイターが傍から見ていて感じたこと、です。
(基本法人での仕事をしています)

制作側はどこまで伝えればいい?それは義務なのか?という話

二次創作でのトラブルがあった、という記事を読んで、
ああ、これは確かにわからないかもしれないな、と思った。
と、同時に、「すべての説明が製作者の責任ではないだろう」とも。

そのブログに書かれている作者さんは色んな声を反映して「わかりやすいサービス」を心がけていらっしゃるようですし、
ここで指摘された方は謝罪をされていますし、
上記のブログの方々に対してはなにも感じませんでした。上手く収束したんだろうな、と。

ただ、それに対してTwitterで様々な意見があって、それを見てるうちに
「怖いな」と思ったことを数点。

「素人だからわからない」は免罪符にならない。

一番感じたことがこれです。

「解像度がわからない」「二次創作って何」「わかりにくい」
もっともな声だと思います。
サービスに対して「わかりづらい」という感想を言うのは自由。
「サービスが悪い!」って口コミを書くのも自由。

ただね、契約書があって、著作権という守らなきゃいけない権利がある中で、それを知らずに犯してしまった場合、
「わからなかった、説明が分かりづらいほう悪い」は通らないと思うんですよ。

契約がわかりにくかったら聞くなり調べるなりしないと、合意した時点で言い訳はできない。

特に「商用利用」や「再配布」については、「個人で楽しむ範囲で購入」とはちょっと意味合いが違う。
要するに「ご自身のビジネス(お金儲け)に使用する」ということが多いので、
それに対して「わからなかった」は通らないのでは。と。
いや、わからなかった、でもいいんですけど、責任はご自身にあるのですよ、ということ。

自由に使えるように権利ごと販売してほしい、という声

この「自由に」というのが全権利の譲渡という意味(+著作人格権を行使しない、という契約つき)なら、高額になると思います。
というか、個人的には高額にすべきだと思う。

理由が「権利とかよくわからないから」というならその額を出して購入するのが一番トラブルがないかもしれませんね。

ただし、それでも著作人格権についての知識は必要。じゃないと高額を出して買って行使されたら意味ないんですよ。
だからと言ってここまで説明の責任があるのか、と考えると私は疑問です。(そもそも販売側に知識がない可能性もある)

製作者側も購入者側も、ビジネスで使う場合の権利はどちらも自己防衛すべき

結論としてはこれです。
法律や専門知識のなさを、どちらも相手のせいにはできないんです。

もちろん集客のため、購入のハードルを下げるため、後々トラブルにならないように
製作者側が凄く丁寧に説明してる人も多いです。それは自分を守るためにも、相手を守るためにも、正しいことだと思っています。

ただ、「お金を払ってるんだからそれくらい説明してくれて当たり前だろう」と思うかもしれませんが、製作者側との契約に「説明」がなければしなくても通るものだと私は思う。
というか、制作者がみんな著作権に詳しいわけでもないんです。(デザインの学校でも勉強しなかったと思う…)
製作者側の価格はあくまで「言われたものを作る価格」である場合が多いのでは、と思うのも不安に思う点です。

ただ、多分それでも最適な権利と価格を渡すために「どんな用途で使う予定ですか?」って聞いてる人が多いと思うんです。
本当は「カラーモードや大きさを指定してくれたら間違いない」のですが、分からない方の為に
「何使うか」を教えてもらって、その用途で困らない権利とデータを作る方が多いと思います。

それに対して「未来は分からないから分からない」では製作者も対応の仕様がないんです。
「では用途が増えたときのお声掛け下さい。追加料金で権利をお渡しするか、場合によっては報告のみで許可します」っていう流れなのだと思うのです。

解像度ってなに?1000pxって書いてあるけど、素人だからわからない!
って言われても、「どこからどこまで説明したらいいの?」ってなりますよね…
「1pxとは」から入るのか…

ポスターで使うのか、A4チラシで使うのか、名刺で使うのか、WEBのMVなのか、SNSアイコ
ンだけなのか。作る大きさが全然変わってきます。

印刷物で使うならCMYKとRGB両方準備すべきなのか、とか、そのあたりまでは想像して考えられますが、
全て予測して質問するにも限界があります。

「未来でどう使いたくなるか分からないからできるだけ権利がほしい」と言われたら
例えばブログでありそうな「未来」…

例えば「書籍化」
・アイコンが象徴になってるので表紙や中ページに使いたい。
・WEB広告や印刷物(電車内のB3サイズ・書店ポップ等)に使いたい。
・売れたので2冊目。アイコンをノベルティにして付けたい。

これを予測して価格を出すと、書籍化しなかった権利(ブログとSNSのアイコンで使うのみの権利)とはかなり価格が変わることと想像できます。
この未来を予測して権利がほしい、文句言われたくない、というならやっぱりそれなりの額が必要になってきますよね。
これを「個人で楽しむのみの権利」で「知らなかったから」でやられてしまうとすごく困ることになります。
(データも違うので不可能でもあるのですが、そのデータを元に他社にトレースをお願いして作り直すことは実質可能です。100%ではないですが。もちろん契約によって著作権に引っかかります。)

かかる時間は一緒なのに、権利の切り売りはおかしいって意見もあるだろうけど、
音楽や出版も基本は同じだと思う。
ひとりが買おうが1万人が買おうが、「作者がかける時間や労力は同じ」。
でも売れるほどお金は入ってくる仕組みですよね。
それを全部否定するなら言ってることはわかるけど、
それは当たり前だけど個人イラストレーターの権利の切り売りはおかしいっていうのは、矛盾を感じます。

WEB制作でもある話

「なんかよくわからないけどWEBサイト作ってよ!」
って言われても、作れませんよね。
「何に使いますか?将来的にどうしたいですか?」と聞いていかなきゃいけない。
「わからない!」といわれたらある程度常識の範囲内で、
「更新はどれくらい必要か?」「どの部分を更新したいか?」「デザイン性はどれほど求めている?」「レスポンシブ(スマホ化)は必要か?」「HTMLで更新するからその分自由度上げたい?」等ヒアリングします。

ただ、そのとき、「再販したい」とか「リニューアルのときに誰でもしやすいようにしたい(元データが必要になる可能性)」とか
そんなことまでは基本的に聞きませんし説明もしません(再販だめですよ、とわざわざ言ったりはしない)。
著作権についての説明も基本的にしません。契約書だけです。

もちろん、契約書について質問されたら答えますし、それによって価格や契約を変えていくことはあります。

ただ、「全ての未来を予測して(再販したいとかコピーしてもう一つ作りたいとかもあるかもしれないから)説明なり質問してよ!」っていうのは
無理です、ということも、わかってね、という話しでした。

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